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2008.02.06 Wednesday  | - | - | - | 

石黒耀『死都日本』 ホラーじゃなかったのね

bk1.jpの内容紹介では「メフィスト賞受賞作家による……」となってますが、この本自体がメフィスト賞(第26回)の授賞作。

昔、本屋で平積みになっていたのを見たけど、タイトルからホラーだと思って敬遠した記憶がある。メフィスト賞、というのもホラーな分野の文学賞だと思っていたし。
 
ところが、『文学賞メッタ斬り!』に「『日本沈没』をそのまま火山でやりなおすっていう話で……(224ページ)」と書かれているのを読んで、これは買わねば、と。ちなみに、“メフィスト賞”がホラーの賞だという誤解も『文学賞メッタ斬り!』のおかげでとけました。(^^;)

死都日本
死都日本
posted with 簡単リンクくん at 2006. 7.26
石黒 耀著
講談社 (2002.9)
ISBN : 406211366X
価格 : ¥2,415
通常24時間以内に発送します。

■あらすじ

九州・霧島火山帯には、阿蘇や桜島をはじめとする有名な活火山がいくつも存在する。しかし、これらの有名火山の現在認識されている「山」の部分は、実は超巨大火山のカルデラの外輪山の一つにすぎないのだ。こうした想像を絶する超巨大火山の本体が噴火すれば、日本はもちろん、世界が破滅の瀬戸際に立たされることとなる……という、クライシスノベルにしてポリティカルフィクション。火山の噴火の様相と影響をリアルに描写した、「火山小説」でもある。
■感想

「破局噴火」(これは著者の造語らしい)をもたらす超巨大火山の存在を説明したしょっぱなからビックリ仰天しっぱなし。
 
地物ネタという意味では、普通の人が知らない地球物理学的な蘊蓄(ウンチク)が身に付いちゃう、というところも含めて確かに『日本沈没』。ところが、妙にサバサバした雰囲気で、読んだ感じはアメリカのパニック映画のノベライズに近いところがあった。科学的蘊蓄の書き込みはケタ違いだけど。
 
『文学賞メッタ斬り!』には、「キャラがしっかり今風」というような書き方で『日本沈没』との違いが示されていたが、自分的には、そういう意味で驚いたのは次の二点。
 
一つ目は、超巨大噴火が前半でサッサと始まってしまうところ。ハリウッド映画的“じらし”も無く、日本特有の“滅びの美学”を味合う間もなく滅んじゃう(^^;)。これは潔いというか、ようするに火山が大爆発するところが書きたくてたまらなかったんだろうなぁ、この作者は、という感じ。ちなみに、破滅が簡単にやって来ますが、人間もただでは転ばない、というのが本書のポイント。
 
もう一点は、海外の扱い。『日本沈没』でも、物語にリアリティを与えるための装置(避難先)としても、“日本の美”を浮きだたせるための外部視点という意味でも、海外への言及があった。本作でも、噴火後の復興に言及する上で、海外という要素が重要なのだが、扱いが大きく違う。『日本沈没』では、海外はあくまで安全地帯であり外部として語られていた。この作品では、同じ破局を味わう仲間として、また脅迫してでも(^^;)活用すべきリソースとして、対等に置かれている。この点は、作者がどうこうというより、日本の置かれた立場が、『日本沈没』の当時(1973)とは大きく異なるということだろう。
  
とにかく、著者の火山(それも活火山)への偏愛ぶりが微笑ましい。もちろん、クライシスノベルとしてもオリジナリティが高く、楽しめます。


■関連リンク

- 画像でたどる死都日本(日本火山の会HP内)
タイトル通り、作中に登場する山々の画像や、被災描写を写真で開設したページ。作品を読みながら見ると、たいへん勉強になります。
 
- 死都日本シンポジウム
2003/5/25に開催された同シンポの案内ページ。プログラムを見ると、学会の先生方はじめ各界有識者の発表がテンコ盛りで、すごり盛り上がり。このタイトルで、内閣府,国土交通省,日本火山学会,日本災害情報学会の後援、というのが、凄いような怖いような。
 
- 書評
上のシンポジウムでも発表なさっている群馬大の早川由紀夫先生による『死都日本』書評。作品の価値を認めつつ、専門的な部分の記載内容に対する疑問点を簡潔に示されております。これまた、役に立つ。
2004.08.09 Monday 10:33 | comments(0) | trackbacks(0) | 日本SF | 

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2008.02.06 Wednesday 10:33 | - | - | - | 

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